矢野健太郎のたわごとblog

漫画家、矢野健太郎のなんか書いてみるblog。主に雑記とか雑記とか雑記とか。だいたいそんな感じ。

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キコ/qui-co.『ミートソース・グラヴィティ』の覚え書き

観劇三昧」という、舞台演劇の映像を見られるサイトに

以前観劇してめっちゃ感激した キコ/qui-co.という劇団の

平日の天使、その他の短編』という作品が登録されたので、

大喜びで観てる(短編集なので毎晩1本)

…で、今夜は2本めで『ミートソース・グラヴィティ』観たんだけど

そう言えばあの時書きかけて放置してた感想があったな…て思い出したので

ほじくり返してUPすることにしますた。

(ネタバレ満載なのでTwitterじゃなくてこっちにね)



『ミートソース・グラヴィティ』

『サンダルウッド』と同じく登場人物はたった3人、でもこちらは愉快で笑いどころ満載のコント的面白さのショートストーリー。
だけど、笑いから感動へ、そしてとても切なく愛おしいお話なのは短編集としての統一コンセプトだからかな。
『平日の天使』との壮大なリンクも隠されてたし。

で、ちゃんとした感想はすでに書かれてるから重箱の隅的な野暮な考証を。

普通「生まれ変わり」っていうのは同じ世界線上で後の時代に転生することだと思ってた。(「前世」「来世」つーくらいだし)
それが「同じ時代の同じ期間だけど別の世界線」にそれぞれ生まれ変わって出会うループものって概念は新鮮な驚きだった。
(これって今だと普通の考え方なの?俺が古いだけ?少なくとも郷ひろみ&松田聖子の言ってたのは同一時間軸上の「来世」だと思うんだけど)

…で、時間じゃなくて世界線移動だからこそ可能になったドラマチックな仕掛けが、「基本的には同じ人生を繰り返してるので以前の人生の記憶がデジャヴとなる」シチュエーションが使えること。
この世界線は直志にとっては2度めの人生なのに、チヨにとっては何度も転生を繰り返したあげくやっと再会できた人生、というズレを描けたこと。
(これはすごくそそるアイデアで、いろんなドラマが生み出せるじゃん!すげー!とか思ったけどこういう型っての既にあるの?俺が知らなかっただけで?いや普通ループものって人生の特定の時点に自分だけ戻るわけで生まれ変わってないじゃん。ああいうのとは別腹でさ)
その上さらにチヨが今生では男に生まれてしまったため名乗るに名乗れずにいたら、かつてのチヨとそっくりな あかり が現れ、目の前で直志と出来てしまったという悲喜劇。もう笑わせたり泣かせたり自由自在じゃん。

誠一(チヨ)が出すレシート、一瞬「あれ?前世から物体持ち込めるの?」って混乱したけど直志は前回と同じ修行過程を経ているんだからあれはこの世界のレシートだ。うん、矛盾は無い。…のか?本当に?まあここはスルーしよう。

…だけど物語冒頭は直志があかりとの別れのさなかにデジャヴに襲われる事から始まったんだよな。
あれ前世ではチヨとの間で交わした会話の今生での再現なわけで、チヨは前世では自分にくれた言葉をこの世界線ではあかりに取られてしまったと認識してるし、あかりを見たのは今生が初めてのような発言をしてる。

でも最後のどんでん返しまで見れば直志とあかりが出会った過去世もあったわけで、直志は今回が2度目の人生と言われてるけど、さらにチヨと出会わずあかりとは出会う人生が少なくとも1回はあったことになる。

その世界にチヨはいなかったのか?いたけれど直志と会えずに終わったのか?
チヨの「やっと会えた」発言からすると何度も転生したけど直志と会えずに終わった過去世が無数に有ったらしいけど
その回数だけ直志とあかりが出会ってたらそっちのが前世の記憶が強固になってしまうからそれは無いはず。

まあ、劇中でチヨが「どういうシステムになってるのかわからないけど」で片付けてるのでここもスルーしよう。

さて、次に気になるのがそれぞれが今生ではどの時点から前世の記憶を持っていたのか。

チヨはかなり早い時点から思い出している。
学生時代から直志を追いかけているようだし、繰り返しのベテランだからこの世界線に生まれた時からかもしれない。

直志はチヨから聞かされるまで生まれ変わりの自覚は無かった。
(するとやはりあかりとの過去世の回数は多くはないと思える)

ではあかりは?
最後の「次はあなたの娘に生まれたい」(そうすれば別れずに済む)という意思表示によって実はあかりも前世の記憶持ちだったというどんでん返しが起きるが、そこまで想う相手と何故いま「不倫」してるのかがわからない。

愛する直志と前世では添い遂げ損ねたのなら何故今生でも他の男と結婚してしまったのか?
この疑問には、前世の記憶が蘇ったのは直志と出会った後だとすれば説明は付く。
だが物語冒頭のやり取り、夫からの電話に出て席を外すまでのあかりのセリフには前世の記憶があるようには感じられない。
…でも電話を終えて戻って来た時には多分もう思い出している。
夫との会話の中になにかきっかけがあったのだろうか?まさか夫も実は…なんてね。

そして最後の切ない「あたしを愛して」からは今までどの世界線でも直志の愛を得られなかった事を彷彿とさせる。
(この感じだとあかりは何度も転生してるように見えるんだけど、ほんと どういうシステム?)
そんな、チヨとは遭わずあかりとも別れた世界線で直志はどんな人生を送ったのか?
そしてこの世界線でもチヨは去りあかりも去るわけだが、このあと直志はどうなるのだろう?

…等々、根がSF者なのでついこんな考証に拘っていろいろ考えちゃったけど、
物語の展開に沿ってその時点ごとに設定も変化しちゃう話ってけっこうあるから厳密に考えても意味無い気もする。、
整合性をあえて捨ててインパクトやエモーションに訴求する事を優先して演出することってよくあるし。
演劇って特にその傾向が強いように感じる。
目の前で実際に人間が演じる事で生まれる説得力は他のメディアより力強いから。



…なんて駄文をね、書いてたんですよ。あの時。

自分で読み返して新鮮だったわw

あとの3作のも書きかけ断片あったけどここまでまとまってなかったし、補完してUPしようかどうしようか…
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  1. 2017/03/24(金) 04:04:21|
  2. 感想
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ネクロノミコン異聞 (鳥山仁/著) やっと読んだよ

ネクロノミコン異聞カバー

全然(?)エロく無いのに最近のAmazonのロリコン狩りのとばっちりを受けて取り扱いから消えてしまったと聞いて、慌てて他所で買って読みました。
なんで今まで読まなかったかというと、私は軍事関係に疎いから。

なんでもこの小説、「ホラーではなく架空戦記のカテゴリで発売」したもので「軍事ネタに疎いクトゥルフ神話好きの人が買うという状況を全く想定して」いなかったそうで(いや、タイトルに「ネクロノミコン」って付けといてそれは無いやろ)
読書メーターとか見ても「クトゥルー成分が薄い」だの「神話も戦記も中途半端な萌えラノベ」だの、「想定外読者」からの評価は散々な言われよう。
WW2とか独ソ戦とか全然わからない私が手を出すべきではない作品と思い込んでたんですが…
めっちゃクトゥルー神話です!
しかもすげーちゃんとしたコズミックホラーです!

これ読んで神話成分薄いとか言ってた人らって、ひょっとして邪神の固有名詞とかはっきり書かれてないと神話だってわからないの?
あんなにたくさんメジャーな神性がこれでもかと登場してるのに?

邪神との関わりで正気を失っていく描写が従来のありがちなパターンと全く違っていて、心が壊れていくとはこういう事か!と目から鱗が落ちまくり、とんでもないリアリティで心に刺さってくるんだけど、普通の狂い方で書かれないとわかんない?

この物語ではなぜか邪神が美少女の姿で人間と契約して使役されるんだけど、そんな事して邪神には何のメリットが?という問いには極めて明快で論理的な答えが示され、その屁理屈力は半端ないです。爆笑しつつ「そりゃそーだよなー」って納得しちゃう。
しかし読み進むうちにじわじわと笑い事じゃ無いのが身に沁みて来てやがて恐怖に変容するアクロバットにはぞくぞくする快感が。
理詰めで矛盾無く展開されるのに終始薄気味悪さと不快感がつきまとい、王道のボーイ・ミーツ・ガール話なのにその代償はものすごくダーク。ホロッとする切なさも吐き気をもよおすゲスな狂気も匂うようなフェチも根は同じアレのため…

いいよいいよ!こういうのが読みたかったんだよ!
軍事描写は全然わかんない想定外読者だけど全然アリだったよ!

Amazonじゃ消されてるしヨドバシじゃ年齢制限になってるからe-honのリンク貼っとく
ネクロノミコン異聞
(2巻も出てるんだけどこっちはなぜか消されてないのね)
ネクロノミコン異聞2 (あくしずレーベル)

ああ、フルートの音が聴こえる…
  1. 2015/06/05(金) 18:30:36|
  2. 感想
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  4. | コメント:0

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で。…と、言いたいとこですが、あっちはずっと放置の上、更新の仕方がわかんなくなってますんで、近いうちになんとかしたいと思いますが…(T_T)

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